多用途に活躍するなくてはならないプラスチックフィルムと素材 jupite, 2020年6月29日2024年11月10日 最終更新日 2024年11月10日 by jupite 樹脂を薄く加工して使用するプラスチックフィルムは、素材の種類が多ければ性質も異なり、用途も幅広く広がっています。 食品用のラップやレジ袋は、柔らかさと成形の容易さを兼ね備えた、ポリエチレン素材のタイプが主流です。 日本でトップクラスの生産数を誇る素材でもあるので、日常的に誰もが目にしていますし、これがないと現代人は生活に困るといっても過言ではないでしょう。 ちなみに、薬品に対して比較的強く、コスト的にも優れていることから、灯油の容器にも使われています。 目次1 包装資材で有名なポリプロピレン2 消しゴムの素材で知られる塩化ビニル、PVC3 トップクラスの透明性を持つアクリル4 高温に耐えられるスーパーエンプラ5 まとめ 包装資材で有名なポリプロピレン 包装資材で有名なポリプロピレンは、OPPという名称で薄く加工して、袋状に製品化されます。 やや硬めの素材で透明性を兼ね備えるので、小物の商品を入れる袋として人気です。 ただし、両サイドは強度が弱い部分なので、何度も繰り返し使用するのには不向きだといえます。(朋和産業より) 口の部分が接着できたり、チャックつきの加工も可能なことから、水に強いことも併せて袋状のプラスチックフィルムの主流になっています。 光学分野や工業用では、ペットボトルでおなじみのPET素材も代表的です。 汎用素材で衝撃や紫外線には強くないものの、耐熱性に優れるので熱を使う場面で活躍します。 ホット飲料の容器に使用されていることからも、PET素材の耐熱性の高さが分かります。 PET素材と同じポリエステル系に分類されるPEN素材は、名前が似ている一方で性質は少し異なります。 PEN素材は光学特性の特徴を失う代わりに、耐衝撃性を獲得しています。 プラスチックフィルムとしては、一見するとあまり関係ないように思われがちですが、磁気テープを始めとした記録メディアにおいて重要です。 消しゴムの素材で知られる塩化ビニル、PVC 消しゴムの素材で知られる塩化ビニル、PVCもフィルム状に加工して使われることがあります。 PVCのフィルムタイプは、基板などの電気絶縁が求められる部分だけでなく、ビニールハウスの材料としても身近です。 太陽光を取り入れる必要のあるビニールハウスでは、透明かつ紫外線と熱に耐えられる耐候性が不可欠です。 その条件を併せ持っているのがまさにPVCで、農家にとってなくてはならないものです。 クリーンルームのように、埃や導電性のある繊維が発生すると困る場所でも、フィルム状のPVCは仕切りなどで活用されています。 発泡スチロールのポリスチレンは、プラスチックフィルムとして加工すると、ペットボトルのラベルになります。 光沢と透明性を両立していることから、ラベルに相応しいといえるでしょう。 印刷も良好で発色も良いですから、ポリスチレンフィルムの最適な活用法の1つだと考えられます。 しかし、活躍している用途はペットボトルだけでなく、封筒の透明窓やラミネートフィルム、テープとしても大活躍です。 市販のお弁当のフタも、実はポリスチレンで作られていたりします。 厚みが増すと今度はCDのケースになるので、発泡スチロールのイメージからすると、加工方法1つで様々な姿に形を変えて多用途に使えることが理解できます。 トップクラスの透明性を持つアクリル トップクラスの透明性を持つアクリルは、ガラスのように光を通すことから、有機ガラスとも呼ばれています。 ガラスの破損による飛散を防止するフィルムは、プラスチックフィルムのアクリル素材が定番です。 紫外線にも耐えられる耐候性を備えますから、まさしくガラスの保護や飛散を防ぐのにうってつけです。 プラスチック板や看板、コンタクトレンズに水槽など、フィルム以外の用途が多いのもアクリルの特徴です。 CDやDVD、ブルーレイのディスクは、薄いポリカーボネートを貼り合わせて作られています。 透明で光を良く通す上に衝撃に強く、寸法が安定していて耐候性も併せ持つ、高性能で代えが利かないこともあるエンプラの一種です。 自動車のメーターやヘルメットにも使われていますから、フィルムの枠に留まらない用途の広い優れものです。 高温に耐えられるスーパーエンプラ 更に高温に耐えられるスーパーエンプラは、可動部に用いられるフレキシブル基板のPPS、絶縁性でテープにも加工されるフッ素、宇宙空間でも耐えるPEEKと豊富です。 PESやナイロン系のアラミドも、プラスチックフィルムとして活躍するスーパーエンプラです。 いわゆる熱硬化性樹脂だと、フィルム状に加工されるケースは少ないですが、耐熱と耐衝撃性、耐薬品性を兼ね備えるポリイミドは別です。 ポリイミドは寒さにも強く、燃え広がりにくい難燃性で絶縁性にも長けていますから、例えば太陽光発電のパネルで欠かせない素材です。 絶縁材や電子機器の材料、宇宙産業においてもなくなると困るプラスチック素材なので、重要度は非常に高いです。 このように、フィルムと一口にいっても素材は多種多様で、性質や特性を活かした使い分けが行われます。 まとめ フィルム加工に向かない素材も存在しますが、熱可塑性樹脂の多くは薄く加工できることから、厚みを調節して用途が広げられています。 板状に加工すると、フィルムとはまた違った活用の幅が増えるので、そこもプラスチックの面白いところです。 ビジネス